最近、「エンジンオイルが不足している」「いつものオイルが入ってこない」といった話を聞いた方もいるのではないでしょうか。
実際、2026年はエンジンオイルを含む潤滑油の供給が一部で不安定になっています。
資源エネルギー庁によると、日本全体で必要な潤滑油の量そのものはおおむね確保されているものの、供給への不安から一部の流通事業者や需要家の注文が集中し、供給の偏りや遅れが発生しました。
特に春先には、ディーゼル車用エンジンオイルを中心に品薄が深刻化した時期もあります。
そしてこれは全国だけの話ではありません。
山形県内でも、2026年7月にトヨタカローラ山形がエンジンオイルなど一部油脂類の供給が不安定になっており、店舗の在庫状況によっては当日にオイル交換できない場合があると案内しています。
中古車販売の現場にいる私としても、エンジンオイルは車を維持するうえで欠かせない消耗品です。
ただし、ここで注意してほしいことがあります。
「オイルがなくなるらしいから、とりあえず大量に買っておこう」
という考え方はおすすめしません。
エンジンオイルには粘度や規格があり、車によって適合するオイルが違います。
この記事では、
- なぜエンジンオイルが不足しているのか
- 現在どのような状況なのか
- ガソリン車とディーゼル車で違いはあるのか
- オイル交換を先延ばししても大丈夫なのか
- ネットでオイルを購入するときに何を確認すればいいのか
を、中古車販売の現場目線で分かりやすく解説します。
「いつも使っているオイルが手に入らない」という場合でも、焦って適当なオイルを入れるのではなく、まず自分の車に必要な規格を確認することが大切です。
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なぜ2026年にエンジンオイルが品薄になった?
今回のエンジンオイル不足は、「日本から突然オイルがなくなった」という単純な話ではありません。
複数の要因が重なったことで、一部のエンジンオイルが手に入りにくくなったり、入荷まで時間がかかったりする状況が発生しました。
① ベースオイルの供給が不安定になった
エンジンオイルは、主成分となる「ベースオイル(基油)」に添加剤を加えて作られています。
このベースオイルの供給が不安定になると、当然ながら完成品であるエンジンオイルの生産にも影響します。
特に2026年春には、ディーゼルエンジンオイルなど一部の潤滑油について、供給不足が問題になりました。
② 「不足するかもしれない」という不安から注文が集中
もう一つ重要なのが、実際の供給量だけではなく、注文が一時的に集中したことです。
「今後オイルが入ってこなくなるかもしれない」
という情報が広がれば、整備工場や販売店などは通常より多めに在庫を確保しようとします。
その結果、特定の商品や流通経路に注文が集中し、さらに「オイルが入ってこない」という状況が起こりやすくなります。
資源エネルギー庁も、日本全体として必要量はおおむね確保されている一方、供給への不安による大量発注によって、供給の偏りや遅れが発生したと説明しています。
③ すべてのエンジンオイルがなくなったわけではない
ここは非常に重要です。
現在の状況を「日本中でエンジンオイルがなくなっている」と考える必要はありません。
メーカー、粘度、規格、販売店などによって在庫状況は異なります。
そのため、
「いつも使っている銘柄がない」
「整備工場で希望するオイルがすぐに用意できない」
ということはあっても、必ずしも「オイル交換そのものができない」という意味ではありません。
むしろ大切なのは、品薄という情報だけを見て慌てて購入するのではなく、自分の車に必要なオイルの粘度と規格を確認しておくことです。
オイルが品薄なら交換時期を延ばしても大丈夫?
「いつものエンジンオイルが入荷しないなら、交換を少し先に延ばせばいいのでは?」
そう考える方もいると思います。
しかし、オイルが品薄だからという理由だけで、交換時期を大幅に延ばすことはおすすめしません。
エンジンオイルには、エンジン内部の潤滑だけでなく、
- エンジン内部の摩擦を減らす
- 汚れを取り込む
- エンジン内部を冷却する
- サビや腐食を防ぐ
- エンジン内部の気密性を保つ
といった重要な役割があります。
走行距離や使用期間が増えるにつれて、エンジンオイルは徐々に劣化していきます。
特に、
短距離走行が多い・渋滞が多い・長時間アイドリングする・寒冷地で使用する
といった使い方では、車にとって厳しい使用環境になる場合があります。
山形のような雪国では、冬場の低温環境や短距離移動を繰り返す使い方も珍しくありません。
そのため、「まだ走れるから大丈夫」と自己判断するより、まずは車の取扱説明書などに記載されているメーカー指定の交換時期を確認してください。
いつもの銘柄がなければ「適合する別銘柄」も選択肢
ここも覚えておきたいポイントです。
エンジンオイルは、必ずしも今まで使っていたブランドとまったく同じ商品でなければ交換できないわけではありません。
重要なのはブランド名よりも、
「その車に指定されている粘度や規格に適合しているか」
です。
例えば「0W-20」「5W-30」といった表記は、エンジンオイルを選ぶ際の重要な情報です。
さらに車種やエンジンによって、API規格、ILSAC規格、JASO規格、メーカー独自の指定などを確認する必要があります。
特に最近のディーゼル車や輸入車などでは、単純に「5W-30だから大丈夫」と判断できないケースもあります。
品薄だからといって、粘度だけを見て適当なオイルを購入しないこと。
これが非常に重要です。
0W-20指定車のエンジンオイルを探す
0W-20にも複数の規格・商品があります。購入前に必ず愛車の取扱説明書などで指定粘度・規格を確認してください。
エンジンオイルは「0W-20」「5W-30」だけで選ばない
ネットでエンジンオイルを購入するとき、最初に目につくのが「0W-20」「5W-30」などの数字です。
これはエンジンオイルの粘度を表す重要な表示ですが、数字が同じだからといって、すべての車に使えるとは限りません。
まずは取扱説明書の指定を確認する
一番確実なのは、愛車の取扱説明書に記載されている指定オイルを確認することです。
確認したいのは主に、
- 指定されている粘度
- API・ILSACなどの規格
- ガソリン車かディーゼル車か
- メーカー独自の指定規格がないか
といった項目です。
例えば、同じ「0W-20」と書かれている商品でも、規格や用途が異なる場合があります。
価格だけで選ぶのではなく、自分の車に適合していることを確認してから購入してください。
特にディーゼル車は注意
今回のオイル供給問題をきっかけに、自分でネットからエンジンオイルを購入しようと考えている方もいると思います。
特に注意してほしいのがディーゼル車です。
DPFなどの排出ガス浄化装置を搭載したディーゼル車では、指定された規格に適合するエンジンオイルを使用することが重要です。
「粘度が同じだから使えるだろう」と判断せず、必ず車両側の指定規格と商品の表示を確認してください。
分からない場合は、無理に自分で判断せず、ディーラーや整備工場などに車種・年式・型式を伝えて確認するのが確実です。
中古車は「前回と同じオイル」だけでは判断しない
中古車の場合は、前のオーナーがどのエンジンオイルを使用していたのか分からないこともあります。
中古で購入した車に入っていたオイルと同じ粘度だからといって、それがメーカー指定に合っているとは限りません。
中古車を購入して初めて自分でオイルを用意する場合も、前回入っていたオイルではなく、その車本来の指定を確認することをおすすめします。
ネットでエンジンオイルを買っても大丈夫?
結論から言えば、自分の車に適合する商品を正しく選べるのであれば、エンジンオイルをネットで購入しても問題ありません。
カー用品店やホームセンターだけでなく、楽天市場などでもメーカー純正オイルや有名メーカーの商品が多数販売されています。
今回のように一部のエンジンオイルが品薄になった場合でも、近所のお店だけではなくネットまで探す範囲を広げることで、適合するオイルが見つかる可能性があります。
ただし、安いという理由だけで購入するのはおすすめしません。
ネット購入前に確認したい4つのポイント
購入する前に、最低でも次の4点を確認してください。
- 粘度
0W-20、5W-30など、車両の指定に合っているか。 - 規格
API、ILSAC、JASOなど、車両に必要な規格を満たしているか。 - ガソリン車用・ディーゼル車用などの用途
特にディーゼル車は指定規格をよく確認してください。 - 必要な容量
4L缶を1缶買えば足りるとは限りません。車種やエンジン、オイルフィルター交換の有無によって必要量は変わります。
「安いオイル」より「適合するオイル」
ネットでは非常に多くの商品が表示されるため、どうしても価格に目が行きます。
しかし、エンジンオイル選びで最優先すべきなのは、
「安いかどうか」ではなく「自分の車に適合しているか」
です。
また、ネットで購入したエンジンオイルを整備工場などへ持ち込んで交換してもらいたい場合は、持ち込みに対応しているか、工賃はいくらかを事前に確認しておきましょう。
店舗によっては持ち込み交換を受け付けていなかったり、通常より工賃が高く設定されていたりする場合があります。
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オイルが手に入らないときにやってはいけないこと
いつも使っているエンジンオイルが品切れしていると、不安になるかもしれません。
しかし、そんなときほど焦って判断しないことが大切です。
適合を確認せずに別のオイルを入れる
「同じ5W-30だから大丈夫だろう」と、粘度だけで判断するのは避けましょう。
先ほど解説したように、エンジンオイルには粘度以外にも規格があります。
特にディーゼル車や輸入車などは指定される規格に注意が必要です。
必要以上に大量購入する
品薄というニュースを見ると、「今のうちに何缶も買っておいた方がいいのでは?」と思うかもしれません。
しかし、一般的な自家用車であれば、必要以上に大量のエンジンオイルを買い置きする必要はないでしょう。
保管する場合も、高温になる場所や直射日光、雨水などを避け、容器を適切な状態で保管する必要があります。
オイル交換を大幅に先延ばしする
「オイルがないから、あと数千kmくらい走っても大丈夫だろう」
と自己判断するのもおすすめできません。
メーカーが指定する交換時期を基本にして、いつもの商品が手に入らなければ、同じ銘柄にこだわるのではなく、車両の指定を満たす代替商品がないか確認するという考え方が重要です。
不安ならプロに確認する
自分の車にどのオイルが適合するのか分からない場合は、無理にネットの情報だけで判断する必要はありません。
車検証などで車両情報を確認したうえで、ディーラーや整備工場などに相談してください。
エンジンオイルはエンジンを守るための重要な消耗品です。
数千円を節約するために適合しないオイルを選ぶより、分からないときは確認してから交換する。
これが一番確実です。
車の消耗品をネットで購入するときは適合確認が重要
エンジンオイルと同じように、バッテリーもネットで購入することができます。
ネット通販は選択肢が多く、価格を比較しやすいのがメリットですが、車に合わない商品を購入してしまうと取り付けできないことがあります。
バッテリーをネットで購入するときの選び方や注意点については、こちらの記事で詳しく解説しています。
▶ 車のバッテリーはネットで買って大丈夫?選び方と注意点を中古車屋が解説
まとめ|オイル不足でも慌てず「適合」を確認しよう
2026年は、エンジンオイルを含む一部の潤滑油で供給が不安定になり、商品や地域によっては入荷の遅れや品薄が発生しました。
ただし、「日本からエンジンオイルがなくなる」と考えて、慌てて大量購入する必要はありません。
大切なのは、次の4つです。
- 愛車の指定粘度・規格を確認する
- いつもの銘柄がなければ、適合する別の商品も検討する
- 品薄を理由にオイル交換を大幅に先延ばししない
- 適合が分からない場合はディーラーや整備工場に確認する
エンジンオイルは、メーカーやブランドだけで選ぶものではありません。
同じ「0W-20」や「5W-30」でも規格や用途が異なる場合があるため、購入前に必ず自分の車への適合を確認してください。
特にディーゼル車や輸入車などは指定される規格に注意が必要です。
今回のように一部の商品が手に入りにくくなったときも、
「いつものオイルがない=オイル交換ができない」
とは限りません。
中古車販売の現場から見ても、エンジンオイルは車を長く乗るために欠かせない基本的なメンテナンスのひとつです。
品薄という情報だけに振り回されず、愛車に適合するオイルを選び、適切なタイミングで交換することをおすすめします。
