中古車を購入して走ってみたら、
「思ったよりタイヤの音がうるさい」
「速度を上げるとゴーッという音がする」
「ウォンウォンという音が周期的に聞こえる」
こんな経験はありませんか?
走行中の「ゴー」「ゴーッ」「ウォンウォン」といった音は、タイヤから発生するロードノイズであることも多いのですが、必ずしもタイヤだけが原因とは限りません。
場合によっては、タイヤの偏摩耗や劣化、さらにはハブベアリングなど車両側の不具合によって似たような音が発生することもあります。
中古車販売店をしていると、「タイヤがうるさいと思っていたら別の場所が原因だった」というケースもあります。
今回は、タイヤのロードノイズが大きくなる原因と、中古車を購入するときに確認しておきたいポイントを販売店の目線から解説します。
そもそもタイヤの「ロードノイズ」とは?
ロードノイズとは、タイヤが路面を転がることで発生する振動や音が車内に伝わって聞こえるものです。
代表的なのが、
「ゴー」
「ザー」
「ゴロゴロ」
といった走行速度に合わせて大きくなる音です。
ロードノイズの大きさは車種だけではなく、
- タイヤの種類
- タイヤの摩耗状態
- 路面状況
- 空気圧
- 車の遮音性能
などによって大きく変わります。
そのため、同じ車でもタイヤを交換しただけで「こんなに静かだったの?」と感じることもあります。
逆に、静粛性の高い車でもタイヤの状態が悪ければロードノイズが目立つことがあります。
タイヤのロードノイズがうるさくなる7つの原因
1.タイヤの銘柄・トレッドパターン
まず考えられるのが、タイヤそのものの特性です。
タイヤにはそれぞれ得意分野があります。
静粛性や乗り心地を重視したコンフォート系タイヤもあれば、スポーツ性能を重視したタイヤ、SUV・オフロード向けタイヤなどもあります。
特にブロックが大きいタイヤやオフロード性能を重視したタイヤでは、一般的な乗用車用タイヤより走行音が大きく感じられることがあります。
つまり、
「音がする=タイヤが壊れている」
とは限りません。
タイヤの性格によって、もともとロードノイズが大きい場合もあるのです。
2.タイヤが摩耗している
新品のときは静かだったタイヤでも、摩耗が進むにつれてロードノイズが大きく感じられることがあります。
タイヤは走行することでトレッド形状が変化していきます。
さらにゴムの状態も新品時とは変わっていくため、走行距離が増えたタイヤでは音や乗り心地に変化が出ることがあります。
中古車の場合、
「タイヤの溝が残っているから問題ない」
と判断しないことが大切です。
残り溝だけでなく、摩耗の仕方まで確認しましょう。
3.タイヤが偏摩耗している
中古車を見るときに特に注意してほしいのが偏摩耗です。
タイヤの内側だけ減っている、外側だけ減っている、トレッド面が均一に減っていないといった状態です。
さらに、トレッドブロックがノコギリの刃のように段差を持って摩耗する、いわゆるヒール&トウ摩耗などが起きると、走行時に周期的な音が出ることがあります。
こうなると、
「ウォンウォンウォン……」
というような音に聞こえることがあります。
タイヤを手で触ったとき、一方向では滑らかなのに反対方向では引っ掛かるように感じる場合は、摩耗状態を確認してもらった方がよいでしょう。
ただし、偏摩耗している場合はタイヤ交換だけで終わらせず、ホイールアライメントや足回りの状態なども含めて原因を確認することが重要です。
4.タイヤが古くなっている
タイヤは溝が残っていれば永久に使えるわけではありません。
使用環境や保管状態などによってゴムは徐々に劣化します。
古くなったタイヤでは、
- ゴムが硬くなる
- ひび割れが発生する
- 乗り心地が悪くなる
- 走行音が気になりやすくなる
といった変化が出ることがあります。
そこで確認したいのがタイヤの製造年週です。
タイヤ側面には製造時期を確認できる表示があります。
例えば「2524」であれば、一般的には2024年の第25週に製造されたタイヤという意味です。
中古車ではタイヤの残り溝だけでなく、「いつ製造されたタイヤなのか」まで確認することをおすすめします。
※当ブログの「タイヤの製造年の見方」の記事もあわせて確認してみてください。
5.空気圧が適正ではない
タイヤの空気圧も、走行時のフィーリングや音に影響する要素です。
空気圧が適正値から外れていると、タイヤ本来の性能を発揮できないだけでなく、偏摩耗などにつながる可能性もあります。
中古車を購入した直後は、一度空気圧を確認しておくと安心です。
ただし、
「静かにしたいから空気圧を下げる」
という考え方はおすすめしません。
空気圧は音だけで決めるものではありません。
基本的には車両メーカーが指定する空気圧を基準にしてください。
6.スタッドレスタイヤを装着している
雪国では特に多いケースです。
スタッドレスタイヤは雪道や凍結路での性能を考えて設計されているため、夏タイヤとはトレッドパターンやゴムの特性が異なります。
そのため、乾燥した舗装路では夏タイヤと比較して走行音や感触の違いを感じる場合があります。
特に中古車を試乗するときは、
「今履いているのが夏タイヤなのか、スタッドレスタイヤなのか」
を確認しておきましょう。
冬タイヤを装着した状態だけで「この車はロードノイズが大きい」と判断するのは早い場合があります。
7.走っている道路そのものが原因
意外と見落とされるのが路面です。
同じ車・同じタイヤでも、路面が変わるだけで車内に入ってくる音は大きく変化します。
「さっきまで静かだったのに急にゴーッという音が大きくなった」
という場合、車の故障ではなく、舗装の種類や路面状態が変わっただけということもあります。
試乗するときは可能であれば、一種類の道路だけではなく、複数の路面を走って確認すると判断しやすくなります。
「ゴー」という音、本当にタイヤ?ハブベアリングにも注意
ここは中古車を選ぶうえで非常に重要です。
走行中に聞こえる「ゴー」「ゴロゴロ」という音を、
「タイヤが古いからでしょう」
と簡単に決めつけない方がいいケースがあります。
タイヤ以外にも、例えばホイールハブベアリングなどの不具合で走行速度に応じた異音が発生することがあります。
厄介なのは、タイヤ由来のロードノイズと似たように聞こえる場合があることです。
そのため、
「タイヤを新品にすれば直るだろう」
と思ってタイヤを交換したのに、
「まだゴーッという音がする……」
ということもあり得ます。
速度によって音が変化する、旋回時など車両にかかる荷重によって音の聞こえ方が変化するなど、気になる症状がある場合は、タイヤだけでなく足回りを含めて整備工場などで点検してもらいましょう。
中古車を試乗するときは「音」を聞いてほしい
中古車を購入するとき、多くの人は試乗中に、
「加速はいいかな?」
「ブレーキは大丈夫かな?」
「乗り心地はどうかな?」
といった部分を確認します。
もちろん、それも大切です。
しかし私がおすすめしたいのは、一度オーディオを消して走ってみることです。
窓も閉めて、車内を静かにして走ってみてください。
例えば40km/h、50km/h、60km/hと速度が変化したときに、
「速度と一緒にゴーッという音が大きくならないか?」
「ウォンウォンという周期的な音が出ていないか?」
「左右どちらかから異音が聞こえないか?」
などを確認します。
試乗中はエンジンや会話に意識が向きやすいため、意外とタイヤや足回りの音を聞き逃します。
「タイヤを新品に交換すれば静かになる」とは限らない
これも覚えておいてほしいポイントです。
確かに、古いタイヤや偏摩耗したタイヤから新品タイヤへ交換することで、ロードノイズが大幅に改善するケースはあります。
しかし、タイヤ交換ですべての音が消えるとは限りません。
原因が、
- ハブベアリング
- 足回り
- 車そのものの遮音性能
- ホイールやタイヤサイズ
- 路面
などにあれば、タイヤだけ交換しても期待したほど静かにならない可能性があります。
だからこそ、原因を確認してから交換することが大切です。
中古車販売店がタイヤを見るときは「溝」だけを見ない
中古車を購入する方から、
「タイヤの溝はありますか?」
と聞かれることはよくあります。
もちろん残り溝は重要です。
しかし、中古車選びなら私はそれだけではなく、
残り溝+製造年+偏摩耗+ひび割れ+銘柄
まで確認することをおすすめします。
例えば溝が十分残っていても、かなり古いタイヤだったり、内側だけ極端に減っていたりすることがあります。
逆に、残り溝が少なくても販売店側で新品タイヤへ交換して納車する条件なら、それほど大きな問題にならない場合もあります。
重要なのは、
「今タイヤが付いているか」ではなく、「どんな状態のタイヤが付いているか」
を見ることです。
まとめ|タイヤの「ゴー」という音を軽く考えない
走行中のロードノイズが大きいからといって、必ず故障しているわけではありません。
タイヤの種類や摩耗状態、経年劣化、スタッドレスタイヤ、路面状況などによっても走行音は大きく変化します。
一方で、「ゴー」「ゴロゴロ」「ウォンウォン」といった音の中には、タイヤの偏摩耗だけでなく、ハブベアリングなど車両側に原因があるケースもあります。
中古車を購入するときは、見た目や走行距離だけを見るのではなく、試乗して実際の「音」を確認することも大切です。
そしてタイヤを見るときは、
「溝があるから大丈夫」
で終わらせないこと。
製造年や偏摩耗、ひび割れなども含めて確認することで、購入後の思わぬ出費やトラブルを避けやすくなります。
中古車は一台一台状態が違います。
だからこそ、気になる音がある場合は「中古車だからこんなもの」と済ませず、購入前に販売店へ確認してみてください。

