中古車を探すとき、まず走行距離を見る方は多いと思います。
「3万kmだから程度が良さそう」
「10万kmを超えているからやめておこう」
確かに、走行距離は中古車を選ぶうえで重要な情報です。
しかし、中古車を扱う側からすると、走行距離だけで車の良し悪しを判断することはありません。
実際、
3万kmでも仕入れたくない車があります。
反対に、
10万kmを超えていても「これはいい車だな」と思う車もあります。
では、中古車販売店は走行距離以外の「どこ」を見ているのでしょうか。
今回は、中古車を選ぶときに私が重視しているポイントを紹介します。
走行距離が少ない=程度が良い、ではない
まず知っておいてほしいのが、
「低走行車=状態の良い中古車」とは限らない
ということです。
例えば、同じ2018年式の中古車が2台あったとします。
A車:走行距離3万km
B車:走行距離8万km
数字だけを見れば、多くの方がA車を選びたくなると思います。
しかし実際に確認すると、
A車は長期間ほとんど動かされず、整備記録も少ない。
一方のB車は毎年点検を受け、エンジンオイルや消耗品もしっかり交換されている。
こういうケースなら、私は単純に「3万kmだからA車」とは判断しません。
中古車で重要なのは、
「何km走ったか」だけではなく、「その距離をどのような状態で走ってきたか」
だからです。
販売店が見る本当のチェックポイント
では、実際に中古車を見るとき、どこを確認するのでしょうか。
もちろん車種によって注意点は違いますが、基本的には以下のような部分を総合的に見ていきます。
1.まず見るのは「車全体の雰囲気」
意外かもしれませんが、私は細かい部分を見る前に車全体を見ます。
外装、内装、タイヤ、ライト、ボディの艶などを見ながら、
「この車、大切にされていた感じがするな」
あるいは、
「走行距離の割に傷みが激しいな」
という第一印象を確認します。
これは感覚だけで判断しているわけではありません。
一台の車を長く見ていると、使われ方の痕跡がさまざまな部分に残ります。
例えば、
- ボディ全体がきれい
- 内装が丁寧に使われている
- ホイールの傷が少ない
- スイッチ類がきれい
- 荷室が極端に傷んでいない
こうしたポイントが揃っている車は、前のオーナーが丁寧に扱っていた可能性があります。
反対に、低走行なのに車全体の傷みが激しければ、
「なぜだろう?」
と考えます。
中古車を見るときは、この「違和感」を見つけることが重要です。
2.運転席を見ると「使われ方」が分かる
次にチェックしたいのが運転席です。
特に、
ハンドル・運転席シート・ペダル・シフトノブ
などを確認します。
これらは運転するたびに触れる部分なので、使用状況が現れやすい場所です。
例えば走行距離が少ないにもかかわらず、
ハンドルがテカテカになっている。
シートのサイド部分が大きく潰れている。
ペダルがかなり摩耗している。
こういった状態なら、表示されている走行距離だけで判断せず、車両全体の履歴を確認します。
ただし、内装の摩耗だけで走行距離がおかしいと断定することはできません。
乗り降りの回数や使い方によって傷み方は変わるからです。
大切なのは、
走行距離と車の使用感に不自然な差がないか
を見ることです。
3.エンジンは「かかるか」より「どうかかるか」
中古車のエンジンチェックで、
「エンジンが普通にかかったから大丈夫」
と判断するのは少し早いです。
私が確認するのは、
エンジンがどのように始動し、その後どのように動いているか。
です。
特に、
- 始動時の異音
- アイドリングの安定性
- 不自然な振動
- 排気音
- 警告灯
- オイル漏れ
- 冷却水漏れ
などを確認します。
可能なら、エンジンが温まっていない冷間時から確認したいところです。
冷えているときにだけ発生する異音などがあるためです。
つまり、
「エンジンがかかった」ことと「エンジンの状態が良い」ことは別
なのです。
4.エンジンオイルの管理状態を見る
走行距離以上に重要になることがあるのが、メンテナンス履歴です。
その代表がエンジンオイル。
エンジンオイルは車に乗っていれば定期的な交換が必要になります。
オイル交換を長期間怠っていた車と、適切に交換されてきた車では、同じ走行距離でもコンディションに差が出る可能性があります。
そのため、
オイルの状態だけでなく、オイルフィラーキャップ周辺、エンジン内部の見える範囲、整備記録なども確認します。
ここで私が見たいのは、
「今オイルがきれいか」だけではありません。
中古車販売前にオイル交換をすれば、当然新しいオイルになります。
重要なのは、
これまで適切に管理されてきた可能性が高いか
ということです。
5.下回りは必ず確認したい
個人的にかなり重要だと思っているのが下回りです。
中古車サイトの写真では、ボディや内装は詳しく掲載されていても、下回りまで掲載されていないことがあります。
しかし、実際に確認すると、
外装は非常にきれいなのに、下回りはかなり錆びている
という車もあります。
特に雪国では注意が必要です。
冬場に道路へ散布される融雪剤などの影響を受け、下回りの腐食が進んでいる場合があります。
確認したいのは、
- フレーム周辺
- サスペンション
- マフラー
- ブレーキ周辺
- 配管
- オイル漏れ
- 冷却水漏れ
などです。
多少の表面錆なら珍しくありません。
重要なのは、
単なる表面錆なのか、腐食が進行しているのか
です。
特に雪国で使用されていた中古車なら、走行距離だけでなく下回りを見てから判断することをおすすめします。
6.タイヤを見ると車の状態が見えてくることがある
タイヤも重要なチェックポイントです。
単純に、
「溝が残っているからOK」
ではありません。
例えば、
4本が均等に減っているか。
内側だけ極端に減っていないか。
左右で摩耗状態が違わないか。
タイヤの製造年が古すぎないか。
ひび割れがないか。
こういった部分を確認します。
極端な偏摩耗がある場合には、空気圧やアライメント、足回りなどさまざまな原因が考えられます。
もちろん、タイヤだけで車両状態を断定することはできません。
しかし、
タイヤにはその車の使われ方や状態を考えるためのヒントが残っている
ことがあります。
7.修復歴だけでなく「修理した痕跡」を見る
中古車を購入するとき、
修復歴あり・なし
を確認する方は多いと思います。
ただし、ここで覚えておきたいのが、
修復歴なし=一度も修理していない車、ではない
ということです。
例えば、ドアやバンパーなどを修理・交換していても、車体の骨格部分に該当しなければ「修復歴あり」にならない場合があります。
そのため実車では、
- ボルトを外した跡
- 塗装の色や肌の違い
- パネルの隙間
- シーラー
- 溶接跡
- 塗装ミスト
などを確認します。
もちろん、板金修理をしているから悪い車というわけではありません。
重要なのは、
「どこを、なぜ、どの程度修理しているのか」
です。
8.整備記録簿は走行距離以上に重要な情報になる
私が中古車を見るとき、残っていれば確認したいのが整備記録簿です。
なぜなら、
車の過去を知ることができるからです。
例えば、
毎年のように点検を受けている。
オイル交換の記録がある。
消耗品が適切なタイミングで交換されている。
走行距離の推移も自然。
こういった履歴が確認できれば、判断材料が増えます。
中古車は現在の状態だけを見ても、その車のすべては分かりません。
だから、
「現在の車両状態」と「過去の整備履歴」の両方を見る
ことが重要なのです。
3万kmと10万kmなら、どちらを買う?
ここで、よくある疑問です。
例えば、
5年落ち・3万km・整備履歴がほとんど分からない車
と、
5年落ち・10万km・定期的に整備されてきた記録が残っている車
なら、どちらが良いのでしょうか。
答えは、
走行距離だけでは決められません。
もちろん10万kmなら、今後交換が必要になる部品が増えてくる可能性もあります。
一方、3万kmでも状態が良いとは限りません。
だから私は、
年式
× 走行距離
× 使用環境
× 整備履歴
× 現在の状態
× 価格
この組み合わせで判断します。
つまり、
走行距離は「答え」ではなく、中古車を判断する材料の一つ
ということです。
「10万kmだからダメ」は昔ほど単純ではない
昔から中古車では、
「10万kmが一つの境目」
と言われてきました。
現在でも10万kmを超えると中古車価格が下がるケースはあります。
しかし、
10万kmを超えた瞬間に車が壊れるわけではありません。
適切にメンテナンスされていれば、10万kmを超えても問題なく使用されている車はたくさんあります。
逆に低走行でも、長期間放置されていたり、メンテナンスが不十分だったりすれば、購入後に整備費用がかかることもあります。
重要なのは、
「10万km走ったか」ではなく、「10万kmまでどう管理されてきたか」
です。
中古車選びで私が一番重視すること
結局、中古車を見るときに一番重要なのは何なのか。
私は、
「その車の状態に一貫性があるか」
だと思っています。
例えば、
走行距離5万km。
内装の使用感も5万km程度に見える。
下回りも年式相応。
エンジンも違和感なし。
整備記録も残っている。
タイヤの摩耗も自然。
こうした情報がつながっていれば、その車がどのように使われてきたのかが見えてきます。
逆に、
一つだけ説明できない違和感がある。
私はそういう車ほど慎重に確認します。
まとめ|走行距離ではなく「車全体」を見よう
中古車選びで走行距離を見ることは間違いではありません。
ただし、
「走行距離が少ない=良い中古車」
と決めつけないことが大切です。
販売店側では、走行距離だけではなく、
内装・エンジン・オイル管理・下回り・タイヤ・修理歴・整備履歴などを総合的に確認します。
そして、それぞれの状態に矛盾がないかを見ています。
中古車は一台一台、これまでの使われ方が違います。
だからこそ数字だけで選ぶのではなく、
「この車は、これまでどう扱われてきたのか?」
という視点を持ってみてください。
走行距離だけでは見えなかった、本当の車の状態が見えてくるはずです。

